ゲーム音楽と一般音楽の違いとは?“効果音”収録の過酷な舞台裏

テレビゲームの大切な要素である“ゲーム音楽”。かつては「ピー」とか「プー」とか鳴るコンピュータ音で作られていましたが、最近ではハード性能の進化もあり、スタジオで録音される場合もあるそう。


そうなると、J-POPなどいわゆる一般的な楽曲の制作環境とあまり変わらないですよね。ゲーム音楽ならではの工夫や苦労などはあるのでしょうか? ゲーム音楽制作会社・ノイジークロークの坂本英城さんに聞きました。

「聞く立場からすると、ゲーム音楽は何度もループして聞くことになる音楽なので、聞き飽きない、耳障りじゃない曲が望ましいと思います。作る立場からすると、音楽ファイルの容量を小さく抑えつつ、高い音質をキープしなければならないという難しさがあります。逆に、そこがゲーム作曲家の腕の見せ所でもありますね」


最近の高性能なハードでは作り出す音の制約は少なくなってきているものの、ゲームハードである以上、容量の問題はどうしても残ってしまうそう。携帯ゲーム機では、現在でも同時に発音できる音数の少ないものがあり、より制約は厳しくなるのだとか。


ゲームハードの進化によって、ゲーム音楽の制作面で変わった部分はありますか?

「特に効果音の部分では変わりました。最新のゲーム機のリアルな映像に合わせるために、効果音もよりリアルなものが求められるようになりました。例えばコップひとつ置く時の音にしても、ジョッキを木のテーブルに置く場合と、ワイングラスをアルミのテーブルに置く場合では全然違う音になるんです。そういった材質や、重さの違いまでも効果音で表現しなければならなくなりましたね」

効果音を作る場合、実際に物の音を鳴らして録音するほか、「音素材集」と呼ばれる様々な音が収録されたCDを利用して作ることもあるそう。

「例えばこの『OPEN&CLOSE』というCDには、世の中のありとあらゆるものを開けたり閉めたりする音がひたすら入っています。ドアとか、車のトランクとか、ペンケースとか。しかし音素材集にも、どうしても入っていない音があり、そういった時は自分たちで録音した方が手っ取り早いですね」


どういった音を自分たちで録音するんですか?

「例えば物を食べる音です。『龍が如く3』では、鳥肉を食べるイベントシーンの音を録るために、社員がケンタッキーのフライドチキンを山ほど買ってきて、骨までかみ砕き、飲み込む音を口元にマイクを寄せて録音したりしました。他に、平手で人を殴りつけるイベントシーンでは、実際に私がうちの社員の頬をビンタして録音したのですが、終わった後から『これ、手と手をたたくのでも同じ音が出たね(笑)』と気付いて社員に謝ったり、いろいろありました(笑)。この他にも、様々な工夫をして録音をしています」


r25