テレビゲームが社会に与えるいい影響って?

事件が起こるたびに「容疑者はゲームマニアで〜」とか、「部屋から多数のゲームソフトが〜」なんてテレビで報道されるように、ゲームが人に及ぼす“悪影響”の有無についてはよくニュースになっていますよね。


逆にテレビゲームが社会の役に立ったり、何か世間にいい影響を与えていることってないのでしょうか? 『テレビゲームのちょっといいおはなし』という、ゲームによる社会貢献を紹介する冊子を作っているテレビゲームの業界団体・CESAの町谷太郎さんに聞きました。

「悪影響論が浸透している背景のひとつとして、ゲーム影響論に関する研究が世界的にも少ないことが挙げられます。しかし最近になり、ようやく具体的な研究結果に基づいた反論ができるようになってきています。今後はこうした研究の蓄積をもとに、少しずつ事実関係を整理しながら偏見を払拭していければと考えています」

他にも、一般にはあまり知られていませんが、例えばゲーム会社による次のような活動事例もあるそう。


「『FOOD FORCE』という、WFP(国連世界食糧計画)の食糧援助活動を体験できるゲームがあります。これはPC用ソフトとして無料でダウンロードできるもので、各国の言語に対応したバージョンがあります。ゲーム会社のKONAMIさんが、WFPと共同で日本語版の翻訳・開発を担当し、好評を得ています。単なる翻訳にとどまらず、日本語版オリジナルバージョンとして、漢字をひらがなにし、平易な言葉を使った“子ども向け”モードも用意され、子供たちに、“遊びを通して社会に興味を持たせる”ことの方向性を示しました。ゲームを使うことでより多くの人々にWFPの活動を知ってもらうことができたと言えるでしょう」

遊びの力を活用して、世界の飢餓問題を考えたり、国連の活動について理解を深められるわけですね。それは確かにゲーム会社にしかできない社会貢献の仕方かも…。


「ゲーム会社だけでなく、プレイヤーが貢献している事例もあります。米国スタンフォード大学が主導する、たんぱく質の折りたたみ構造を解析し、がんなどの疾病の原因究明を行う分散コンピューティングネットワークプロジェクト『Folding@home』には、高い処理能力を持ったPS3をネット接続することでも参加が可能で、PS3からの参加者が100万人を超えているなど、ゲームが社会貢献に役立っている事例は多岐に渡っています」

Folding@home』プロジェクトでは、1台のコンピュータではまかないきれない膨大な計算を、多くのコンピュータで分散して計算しており、その計算を家庭のPS3でも行えるのだとか。今のゲーム機は昔と比べて随分高性能になっていますから、家庭用ゲーム機として遊ぶということ以外にも活用することができるのだそう。


ゲームの持つ「遊び」の力を活用して、国連組織の活動の広報につなげたり、ゲーム機で大勢のプレイヤーが研究に貢献していたりと、ゲームが社会に貢献していることっていろいろとあるんですね。


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