「ドラクエ」はなぜ国民的RPGになったのか?

ドラゴンクエストIX 星空の守り人

ドラゴンクエストIX 星空の守り人

2009年7月に発売されるやいなや、2日間で234万本を販売し、4日間で300万本も出荷されたという『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』。


ファミコン時代から人気を保ち続け、“国民的RPG”と呼ばれるほどに至った人気の秘訣はどこにあるんでしょうか? 『ドラクエ』を何千時間もプレイして作られる攻略本『ドラゴンクエストのあるき方』シリーズの著者・成沢大輔さんに聞きました。


「『ドラクエ』シリーズには、いくつか共通する要素があります。たとえば世界を旅する“ロードムービー”の要素があること。世界全体にかかわる事件を、旅しながら解決していきます。そして、高貴な身分の者が、何らかの理由によってその身分を失い、旅をするという“貴種流離譚(きしゅりゅうりたん)”であることもそうです。これは、『源氏物語』や、ギリシャ神話のヘラクレスの冒険などいまでも語り継がれる名作物語にも見られる物語構造で、普遍的な魅力を持っているのです」


言われてみれば、初代『ドラゴンクエスト』の主人公はロトの血筋を引く勇者だし、『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』の主人公は、王様の息子だったのに物語の途中では奴隷にされたりしています。


「さらに、老若男女から人気を集める一番の要因は、“物語のわかりやすさ”にあります。ファンタジーのエッセンスは入っているのですが、シナリオの基本は『困っている人がいるから、助けなきゃ』というおとぎ話です。この王道の展開が、変に肩肘を張らずに安心して楽しめる親しみやすさを生んでいますよね。ゲームデザイナーの堀井雄二さんをはじめとするシナリオチームが、時間をかけて丁寧にシナリオを組み立てているからこそだと思います」


それらの要素は、1986年に発売された初代『ドラゴンクエスト』のころから変わっておらず、幅広く人気を集めている要因になっているそう。そして、その人気を裏付けるように、1988年に発売された『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』では、学校を休んで発売の行列に参加する子供や、ソフトを狙ったカツアゲ事件まで発生し、ゲームの枠を越えた社会現象にまでなりました。


「いまや『ドラクエ』自体がひとつのジャンルになり、何年かに1度ある『ドラクエ』の発売がオリンピックのようなイベントになっているように感じます」


成沢さんは『ドラクエIX』発売後、電車内でDSを遊んでいる人たちをよく見かけたそう。なかには、何年ぶりかにひっぱりだしてきたような、古いタイプのDSで遊んでいる人も…。ゲームから離れてしまっていても、すぐに安心して遊べることが人気の秘密なのかもしれませんね。


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